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顧客は、インターネットにおいて、マスメディアで扱われる「大衆」と呼ばれる存在から、検索や発言といった自発的な行動の主である「個の集合」へと変
わりました。これは、インターネットの持つ本質的な双方向性によるものだと思われます。インターネットのサービスのなかに、顧客同士が意見交換を行うオ
ンライン・コミュニティがありますが、これも双方向性の最たる形として利用者から多くの人気を集めています。
利用者が、オンライン・コミュニティに参加する際に重要になるのは、個人それぞれの自己表現です。それは、自分の日記を書いたり、自分の友達を紹介し
たり、グループに参加したり、という活動で表現されます。コンピュータを介したコミュニケーションでは、実際の顔が見えない分、このような自己表現がな
いと、他の利用者から自分の存在を確認してもらえません。なので結果的にオンライン・コミュニティでは、個々によって表現されたアイデンティティが、そ
れぞれに繋がり合うようなネットワークが構築されます。利用者は、地域や年齢、好きなジャンルといったような、属性や趣味嗜好で細かく分化する傾向にあ
ります。この細分化のエネルギーこそ、オンライン・コミュニティの世界では、個々の自己表現を活発にするきっかけになるものです。例えば、「ミュージカ
ル」のジャンルから参加した利用者が、自分の趣味に合わせて「ブロードウェイ同好会」を作成し、仲間を集め運営を始める、といった具合です。現在、弊社
のシステムを観察しますと、13万人の利用者が1万個以上のサークル(コミュニティ)を自主運営しています。オンライン・コミュニティは、利用者同士に
よって自律的に、また自己増殖的に発展して行くので、運営企業は、無理に管理して作る必要がなく、むしろ「場」を提供する役に徹し、主役である利用者の
活動を支援するという態度が好まれます。運営企業には、コストを掛けずに活性が維持されるというメリットも生まれます。
このような個々の利用者のコミュニティ活動の様子を、運営企業は、統括的に解析するシステムを用いて、利用者同士の今現在の繋がり合いを把握すること
ができます。「東京に住んでいる20代前半の男性ではどのようなものが流行っているのか?」ですとか「ジャズが好きだと言っている層は、他にどのような
ものが好きなのか?」といった質問をシステムに投げかけると、その回答が即座に帰ってきます。また、コミュニティにおいて皆から評価されている「オピニ
オンリーダー」の存在も自動的に抽出されます。これは、口コミ情報伝達のハブとなっているポイントですので、マーケティングを行う上で大変重要なグルー
プであると言えます。利用者がそれぞれの特性ごとにグループ分けされると、商品の紹介やブランドに関する情報を、利用者に合わせてOne to One
で配信することが可能になります。運営企業からの情報伝達では間に合わないような細かな情報は、たくさんのコミュニティを起点として繋がり合う利用者同
士の会話によって伝わって行きます。また、オピニオンリーダーを介して、口コミ情報伝達を半ば人工的に仕掛けることも可能になります。
さらに、それぞれのテーマで分類された利用者グループに対して、インタビューを実施することが可能です。司会者と数名の利用者が集まり、あるテーマに
対して自由に意見を交し合います。実施期間は3週間程度で、司会者は1週間に2〜3回の質問をします。リアルのグループインタビューでは、1つの会場に
参加者を集めるため、会場費や謝礼、速記録などにもコストがかかり、なかなか全国的に調査を行うことはできません。これをオンラインで行うことにより、
空間や時間による制約を解消することが出来ます。また、実際に対面しないため、参加者は発言がしやすく、また、通常では発言のしづらいテーマ(病気や家
庭のプライバシーに関わる事など)にも効果があります。こうした利用者の「生の声」を集めることで、自社にまつわる新しいニーズや新しい方向性などが、
日常的に見いだせるようになります。また、インタビューの経過自体を、オンライン・コミュニティを介して、社内の関係者で同時に閲覧・参加することも可
能です。「大衆」から「個の集合」へと大きく変わりつつある顧客の、今この瞬間の実態を、社内全体でリアルタイムに共有することができます。さらに、イ
ンタビューの結果をサイト上で発表するなど、顧客志向の姿勢を利用者に積極的にアピールすることで、会社の健全で活発なブランドイメージを強く訴えるこ
ともできます。 |